第51章 Nさんのお誕生日に…
「…ニノはさ、喜んでた?」
「えっ…?」
「いいとこ…連れていってあげたんでしょ。」
「いいとこ…。あっ。どうしてそれを?」
「楽屋で話してたの、聞こえちゃったから…。」
それで、ニノと俺が一緒だと…。
「聞いてたんだね。うん、喜んでたよ。」
「だよね。電話した時ね、ニノさ、嬉しそうな声だったし。」
「うん。」
「お誕生日にさ、智くんと過ごせるなんてさ。」
本当だ…松潤が言った通り、誤解してるんだ。
「翔くん。あのね、相葉ちゃん家にね、ニノを連れて行ったの。」
「…えっ…?相葉くん家…?」
戸惑う翔くんの身体の力が一瞬抜けた。
「あっ…さと…。」
だから俺は、翔くんの身体をクルンと回して俺のほうに向けたんだ。
目を丸くし、驚いた顔の翔くん。
ちょっと無理矢理感はあるけど、やっと顔が見れた。
「翔くん、聞いてくれる?」
翔くんはおっきな目を揺るがせながらも、コクッと頷いてくれた。
俺は事の経緯を翔くんに話した。
「もう…恥ずかしいよ。1人で不安になってたなんてさ。あっ…。ニノとの電話さ、途中で切っちゃった…。」
「あぁ、それは大丈夫。ニノね、翔くんがいつもの焼きもちを妬いてるって思ってたから。気にしてなかったよ。」
「いっ、いつもって…。」
照れたように話す翔くんにキュン…とした。
「んふふ。翔くん、可愛い。」
「もう、何言ってるの。」
ポスン…と俺の胸を叩いた翔くんが、体育座りしている膝に手を置き、その上に顎を乗せて、
「良かった…。安心した…。」
と呟いている。
ずっと不安でいた翔くんのそんな姿を見たら…愛しくてたまらなくなった。
「翔くん…。」
ん?と顔を上げた翔くんの少し開いた唇。
「もう、不安にはさせないから…。」
俺は翔くんのその唇に、ちゅっ。と唇を重ねた。