第50章 かき氷のように
「智くん、自分の部屋に戻ったりなんてしないよね。」
不安げな表情をしながら、翔が俺の手を取る。
「水飴も…タコ焼きも…まだ俺のとこにあるから…。」
キュッと俺の手を握り、翔がゆっくり歩き出す。
一緒に翔の部屋に入ると、翔が俺に抱きついてきた。
「何で…智くん、何で…。」
翔の身体がさっきよりも熱い。
「ほら、熱が上がるから…ベッドで休んで。」
「そんなの…もうとっくに上がってるよ。」
そう言って、翔はぶつけるように唇を重ねてきたんだ。
「ちょっ…しょ…?」
翔がぎこちないながらも啄むようなキスを繰り返す。
翔らしい、一生懸命なキス。
俺は翔の後頭部に手を当てて、キスに応えた。
「んっ…はぁっ…。」
「智くんのことが…好き。」
「翔…。」
「キスされてびっくりしたけど…嬉しかった。」
「俺、ずっと…翔のことが好きだったから…。」
「ありがと…嬉しい…。」
俺たちは貪るようにキスをして、ベッドになだれ込んだ。
「辛くなったら言えよ。」
「うん。わかってる…。」
見つめあって、深い口づけを交わした。
「んっんっ…。」
「あっ…あっあっ…。」
口を少し開き、厚い胸板を上下させる翔。
ナカも勿論キモチいいけど、その表情だけでもゾクゾクする。
「はぁ…翔…キモチいいよ…。」
「さと…あっん…キモチいい。」
限界が近づいてきて、腰打ち付けながら翔のモノを上下に擦る手のスピードをあげる。
俺の背中にある翔の手にも、力が入ってきた。
「大好きだよ、翔…。」
「智くん…大好き…。」
かすれ気味の甘く切なげな翔の声に、身体が更に疼く。
「しょ…もっ、イく…。」
「さと…一緒にイこ…あっあっ…。」
俺は翔のナカに、翔は俺の手の中に白濁を放った。
この日。
俺たちは、初めて身体を重ねたんだ。