第50章 かき氷のように
かき氷は2つ買い、シロップは1つはイチゴ、もう1つはブルーハワイをかけてきた。
小さい頃から、翔はイチゴで俺はブルーハワイが定番になっている。
カップを見ると、7分目くらいまでに氷が溶けてきていた。
「ん~っ、冷たくて美味しい。」
「うん。美味いな。」
シャリシャリとした氷の食感がまだ残っていてホッとした。
「ねぇ、智くん。」
「ん?」
「一口もらってもいいかな。」
そう言いながら、翔はスプーンストローの先の部分をティッシュで拭きはじめた。
「どうした?」
「だってさ。ほら、そのままだと智くんに風邪をさ。」
「大丈夫だよ。ほら、あーん。」
俺は自分が使ってるスプーンストローで、一口分すくって翔の口の前に差し出した。
「えっと…あ、あーん。」
翔が遠慮がちに口を開ける。
イチゴのシロップでピンクに染まった翔の舌が見える。
生々しい舌の動きにゾクッとする。
かき氷を口に入れて、閉じられた唇。
スプーンストローを抜く際に、わざと翔の上唇を持ち上げるようにしてゆっくり引き抜いた。
プルっと動く唇。
微かに聞こえる“ポン”って唇が鳴る音。
ごめんな、翔…
これくらいの楽しみは許して。