第9章 色を探して
(Oサイド)
おいらが中学生になった時くらいからかな。
しょうくんの雰囲気が変わった気がした。
まぁ、親が再婚してから2年間はおいらたちは下校後も休みの日もずっと一緒にいたし…さみしい気持ちもあったんだろう。
ただ…それだけじゃないようにも感じていた。
おいらを見る眼差しが、愛しいものを見るみたいな。
その前からも何となく感じてはいたけど、しょうくんはまだ5年生だったし、お互い子供だったから…気づいていない振りをした。
しょうくんは外でも遊ぶようになったようで、友達に連れていってもらった城址公園が気に入ったと嬉しそうにしていた。
母ちゃんによると、たまに1人でも行ってるみたいだった。
ある日、午後の授業で4階にある音楽室にいた時のこと。
窓から見える城址公園に、赤白帽子の小学生たちがいるのが見えた。
どうやら写生に来たみたいだけど、なぜかその中の1人が、じっとこっちを見てる…。
遠くてはっきりではないけど、雰囲気的にしょうくんだと思った。
…ふふっ。しょうくん、絵は苦手なんだから早く描きなよ。
暫くしてから描き始めてだけど、先生らしき人が近づいてからは、なんだか俯いていたのが気になった。
上手く描けなかったのかな…。
それから数日が経ったある日。
放課後になると城址公園から校舎を見てる小学生くらいの子がいたのに、最近はその姿を見なくなったと吹奏楽部の友人から聞いた。
じっと校舎を見ていた子…
姿を見せなくなった子…
それって、もしかして、しょうくんなのかなと思った。
あんなに足を運んでいたのに、最近しょうくんが城址公園に行ってないみたいって母ちゃんが言ってたから…。