第49章 いつもの日常の中で
智くんに気づかれたくなくて、片膝を軽く曲げた。
だけど、かえって意識がソコにいってしまって気持ちが落ち着かない。
「しょーくん、もしかして…。」
智くんがそう言いながら嬉しそうな表情をした。
「智くん…。」
「んふふ。なぁに?」
「ごめんね。智くんとのキスが気持ち良くて、智くんの色気を感じてこんな風になるなんてさ…気持ち悪いよね。やだよね。」
「何で?」
「何でって…。男の智くんに欲情しちゃったから…。」
「しょーくん…、そんなに色々はっきり言われると照れるんだけどなぁ。」
「あっ…。」
自分が口走った言葉を振り返ると、かなり恥ずかしい。
だけど、いつものふにゃんとした雰囲気の智くんが見れて何だかホッとした。
「このまま勢いで…とも思ったけど、急がなくてもいいか。」
智くんが俺の前髪をかき上げて、おでこにちゅっとキスをした。
俺の上から身体を離して隣に寝転ぶ智くん。
智くんが言ってるのは…そういう意味のこと、だよな…。
何となく頭の片隅にはある、男同士のソレ。
智くんと俺が…?
少なくとも、智くんは俺とならいいって思ってるんだよね。
俺は、今まで考えたことなかった。
だけど…
智くんに触れたくてたまらない。
触りたいし、触ってほしい。
それは、相手が智くんだからなんだ。
「智くん…。」
俺は上半身を起こして、智くんの唇にちゅっ、ちゅっとキスをした。
愛しくて…
大好き…
「智くんと…シタい。」
「しょーくん…。」
智くんは俺を優しく包んでくれた。