第49章 いつもの日常の中で
「しょーくん、見ぃつけたぁ。」
智くんは今日も、屋上にいる俺のところにやって来た。
「ねぇねぇ、しょーくん。何で今日は足を組んでるの?」
「何となく。」
「ふーん。ま、いっかぁ。」
今日の俺は胡座ではなくて、寝そべって足を組んでいる。
何だか昨日から智くんのことを考えると胸がザワつくから、膝枕ができないように…って思ったんだ。
だけど。
智くんはいつものように横になる体勢に入り始めた。
えっ、マジか…。
「さっき食べたものが出ちゃうかもしれないよ。」
「んふ、大丈夫。軽く乗せてるだけだから安心して。」
「せめて、あっち向いてよ。」
「やぁだ。大好きなしょーくんの顔見たいもん。」
「早く眠ってください。」
「うーん、ドキドキして眠れないかも。」
俺だってドキドキしてるんだよ…。
お腹の上に頭を乗せて、こっちを向いてるから…智くんの顔が近いんだ。
「はいはい、おやすみ。」
俺は目をつむった。
こうすれば、智くんの顔を見なくてすむから。
…そう思ったのに。
かえって落ち着かない。
智くんの頭が俺の腹の上でモゾモゾしている。
向こうを向いてくれたのか…?
そ~っと薄目を開けて見ると、さっきより顔の距離が近くなってる。
「智くん、眠っていいから。」
「しょーくんの寝顔を見たいからお構い無くぅ。」
「じゃあ、お言葉に甘えて。」
俺は再び目を閉じた。
間近で見る智くんの顔は本当に綺麗で…胸がドキドキした。
その瞳をじっと見ていたら吸い込まれそうに感じたんだ。
暫くすると、智くんの手が俺のお腹と背中に当てられる感触がした。
思わずビクッと少し身体が跳ねてしまったのが恥ずかしくて、俺は寝たふりを続けた。
「んふふ。ふふふ。」
智くんの嬉しそうな笑い声がしてる。
一旦止まったかと思うと
「くふふふふ、ふふふふふ…あははっ。」
…こんなに笑ってる間近で寝てなんていられない。
「こら、いつまで笑ってるの。」
「だってさぁ…イケメンがいきなりビクッて…んふふふふ。」
「あなたがいきなり背中とお腹に手を当ててきたからでしょ。」
俺がそう言うと、智くんが目をキラキラさせていた。