第9章 色を探して
俺は今、高校1年生。
兄の智くんは高校3年生。
俺たちは親が再婚した時の連れ子同士。
だから血の繋がりはないけど…世間的には兄弟で。
俺が小3で、智くんが小5の時に兄弟になった。
初めて会った時から、智くんに惹かれていた。
彼の纏う雰囲気が好きだった。
智くんと同じ小学校に通うようになって、わかったことがあった。
たれ目がちでやわらかい雰囲気なのにスポーツ万能。
そして、みんなから好かれていたこと。
智くんが中学生になった時、制服姿を見るのがいやだった。
小学生の時みたいに一緒に登校できなくなるし、休み時間に見かけることもできなくなる。
俺の知らない智くんが増えていくのがいやだった。
制服姿の智くんは急に大人びた感じがした。
誰にも見せたくないって思った。
最早、俺の中では憧れのお兄ちゃんではなく、1人の男として好きになっていたんだ。
だからあの場所は、俺にとって大切な景色だったんだ…。