第48章 そのままでいい
「開けていい?」
「もちろん、いいよ。」
大きな目と鼻の頭を少し赤くした翔くんが、鼻をグスグスすすりながら袋を開け始めた。
それがまるで、お預けをくらって泣いていた子どもがやっと許しを得たかのような姿に見えてきて。
胸がキュンとして、愛おしくてたまらなくなった。
俺は思わず、翔くんを背中から包むように抱きしめた。
「智くん?」
「気にしないで、開けていいよ。」
「うん。」
翔くんは宝物を扱うように、優しい手つきで2つのペンダントを取り出した。
しばらく眺めた後、クローバーの部分をそっと指の腹で撫で始めた。
翔くんの肩越しから見たその横顔は、儚くも綺麗だった。
「翔くん、着けてあげるよ。」
「えっ。でも…。」
「せっかくお揃いで買ったんだからさ。着けてみようよ。」
「おかしくないかな…男だし…。」
やっぱり気にしてるんだなと思った。
「四つ葉のクローバーだしさ、おかしくないよ。俺も着けてみるし。」
「智くんも?」
「そうだよ。ほら、翔くん。着けよう?」
「じゃあ…お願いします。」
翔くんはピンクのほうのペンダントを俺に渡した。
「俺もお願いね。」
俺は翔くんにピンクのほうを、翔くんは俺にブルーのほうを、お互いに着けあいっこしたんだ。