第48章 そのままでいい
自宅に戻った俺たち。
翔くんが二人分のカフェオレを淹れて、ソファーにいる俺に持ってきてくれた。
「ありがと。」
「どういたしまして。」
翔くんはラグに体育座りをし、両手でカップを持って一口啜った。
ローテーブルの上には、あのペンダントが入った袋が置いてある。
翔くんは、カフェオレを飲みながらチラチラそれに視線を向けていた。
その姿がすごく可愛くて、ずっと見ていたいくらいだった。
でもあまり焦らすのも…
「そんなに気になる?」
気になるのは当たり前だろうな…って思いつつ、翔くんに聞いてみた。
「まさか智くんがさ、ああいうの好きだなんて初めて知ったよ。」
「ブフォッ。」
「だ、大丈夫?」
俺は豪快に噴き出してしまい、飛び散ったカフェオレを翔くんがタオルで拭いてくれた。
「まぁ…その…この前行った時にさ、翔くんに似合いそうだなぁって思ってさ。」
「うん…。」
「ただあげたいからってだけだとさ、翔くん遠慮するかなって思って。色違いで買うならさ、大丈夫でしょ。」
「ありがとう、智くん…。」
翔くんの目尻が光っている。
俺はペンダントが入った袋を翔くんに渡した。
袋を手にした翔くんの目は潤んで揺れていて、大粒の涙がポロポロっと頬を伝っていったんだ。