第48章 そのままでいい
唇が乾燥する季節にリップクリームを買いに、一緒にドラッグストアーに行った時のこと。
保湿性のあるものを選んでいる俺の横で、翔くんの視線の先にはデザインの可愛いものや色つきリップクリームがあった。
思わずその商品に触れてしまったようで、
「あっ、あのさ、今は色んなのがあるんだね。」
慌ててそう言った翔くん。
その時はあまり気にはしなかった。
だけど…。
幼稚園に通う姪っ子のお誕生日プレゼントを買いに行った時に確信したんだ。
そこは、ヘアゴムや子ども用のアクセサリーなどおしゃれグッズが売ってるお店。
いっぱい種類があるから、とりあえず姪っ子が好きなピンク色の商品を幾つかカゴに入れた。
あれこれ検討してる中、チラッと翔くんを見たら、目をキラキラさせて商品を眺めていたんだ。
その顔がすごく可愛くて…。
大人の男性なのに、不思議と気持ち悪いとは思わなかった。
可愛いものを可愛いと思う気持ち。
女の子でもカッコいいものが好きな人がいる。
プレゼントを探してる体でなら、男がこういう所にいてもおかしくはないだろうに。
でも翔くんの性格からして、1人では来れないんだと思う。
好きなもの興味あるものを、こういう機会でもないとじっくり見れないんだろうな。
翔くんの姿を見ていたら、何だか胸にくるものがあって。
男でも可愛いものが好きだっていいじゃないか…そう思ったんだ。