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キミとボク【気象系BL】

第47章 戸惑うこともあるけれど



翌朝教室に入ると、クラスの人達と楽しそうに話す智くんの姿があった。

俺と智くんが恋人同士なのを皆は知らない。

元々つるんでる友達も違うし、俺たちは学校ではほとんど一緒には行動しないから。

呼び方も“櫻井”と“大野くん”で。

恋人宣言して一緒にいると、邪魔をする奴が出てくるから…って智くんの考えなんだ。

だけど。

俺だって本当は、あんな風に智くんと学校でも話がしたいんだ。

その思いはどんどん強くなっている。

智くんがクラスの人達と一緒にいるのはいつもの朝の光景。

昨日あれほど愛しあったのに、学校では他人行儀だなんて…。

俺の気持ちはモヤモヤしていた。

智くんは俺といなくても平気なの…?

イヤでも自然と耳に入る談笑する声に耐えられなくなって、俺は教室を出た。



トイレの洗面台でバシャバシャと顔を洗いハンカチで拭いていると、肩をトントンと叩かれた。

「大丈夫か?」

この声は…智くんだ。

心配してきてくれたのかな。

そう思うと、なんだか嬉しかった。

なのに。

「俺さ、何かした?」

智くんの言葉が胸に刺さった。

「そっか…。さと…大野くんは俺のことじゃなくて、自分のことが心配だったんだね。」

「えっ…?」

「俺のことなんてほっといていいから。」

俺が個室に入り鍵を掛けて暫くすると、トイレから立ち去る足音がした。

「智くんのバカ…。」

俺は小さく呟いた。



もしかしたら扉の外で待っていてくれてるかもしれない。

だけど…目に入ったのは誰もいない廊下だった。

淡い期待も外れて、ますます気持ちが落ちていった。

ほっといて、とは言ったけどさ…。

腰もお尻も痛いし、何だか体がだるい。

教室に戻る足取りが重くて、俺はそのまま保健室に向かった。




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