第43章 俺の隣り
俺は勉強は嫌いではない。
成績も常に学年トップをキープしている。
大野の弱点といったら…数学が苦手なところかもしれない。
今もウーンウーンと小さく唸りながら、問題と格闘してるのが聞こえる。
他のヤツらだったら耳障りなそれも、大野だからなんだろうな…心地よく感じるんだ。
昼休み。
イヤホンで音楽を聴いていると、右肩をトントンと叩かれた。
誰だよって思いつつイヤホンを外しながら振り向くと大野の顔が目の前にあった。
ビックリして…
「うぉっ。」
思わずのけ反ってしまった。
「櫻井くん…ビビりなの?」
嬉しそうにニコニコしてるけど…ビビりじゃねぇし。
どうしよう、俺に用があるんだよな…
「なにか用?」
声が震えないように気をつけたら、ぶっきらぼうな言い方になってしまった。
キョトンと固まる大野。
怒ったって思ったのかな。
「どうしたの?」
今度は声色にも気をつけながら、ニコッとしてみた。
大野の表情がぱぁぁぁぁ…っていかにも嬉しそうに変わっていった。
なのに…
「櫻井くんが…笑ってくれた…。うぅぅっ…。」
今度は泣き始めて…。
笑ってくれた、って泣かれて…恥ずかしがってる場合じゃないなって思った。
俺は大野の手を引いて、裏庭に向かった。