第42章 時の過ぎゆくままに
ちょうどお昼時になり、智くんと一緒に図書館を出た。
「翔くん、こっちを歩きな。」
そう言いながら智くんはスッと移動して車道側を歩く。
それがすごく自然だったから
「女の子と歩く時も、こうしてるんですか。」
思わず聞いてしまったのに、返事を聞くのが怖いなんて。
「ははは。一緒に歩く女の子なんていないよ。」
「本当に?付き合ってる人とか…。」
「そんな人ないよ。」
「じゃあ…好きな人は…。」
「おっ。翔くんグイグイくるねぇ。そんなに気になる?」
智くんの流し目にドキッとした。
「はい、気になります。だって僕は…。」
「翔くん、ストップ。」
僕はこのまま勢いに任せて気持ちを伝えようとしたけど、智くんに止められたんだ。
「ちょっと、あの木陰に行こうか。」
僕は頷いて、智くんの後をついていった。
「あの…。」
「あのね、翔くんが言おうとしたこと…多分ね、俺の予想とあってると思うんだ。」
「はい…。」
「でもね、タイミングがね…今ではないんだ。」
「今…じゃない…?」
「うん、そう。今ね、言われたとしてもね、きっと曖昧な返事しかできないから…。」
「わかるような、わからないような…。」
「そうだよね。えっとね…翔くんのこと、気になってはいるよ。だけどそれがね、恋愛感情でなのか弟みたいな気持ちでなのか…。自分の中ではね、8対2いや9対1…もしかしたら100対0かもしれないけど…。」
僕は智くんが真剣に考えてくれてるのがわかっただけでも嬉しくてたまらなかった。