第41章 恋に堕ちて
両手が自由になった智くんが身体を起こしながら俺を抱きしめようとしたら、俺から智くんのモノが抜けてしまった。
「あっ、ごめっ…。」
謝らなくていいのに。
見えないから仕方ないよ。
「ふふっ…。」
思わず笑ってしまった。
ふぅ…。
俺は智くんの目隠しを外した。
智くんは瞼を数回パチクリさせる。
そして俺を視界にとらえ、俺の頬に手を添えて切なげに見つめた。
「翔くんをここまで追い詰めさせてたなんて…ごめんな。」
優しい声色に胸がギュッとなる。
「さと…ごめっ…。」
泣き崩れる俺を、智くんがふんわりと包んだ。
「翔くんはすごい人だからさ…俺とは釣り合わないかなって…。」
「そんなことな…い。」
「でもさ、一緒にいるとやっぱり嬉しくて…。」
「うん…。」
「曖昧な態度してたなって…。」
「うう、ん。」
「ごめんね、翔くん。」
「智くん…。」
俺は智くんの胸に手を添えて、智くんを見上げた。
「俺も、ごめんね。智くん。」
「ううん。」
「智くんの気持ちがわからなくて…不安で…。だけど、こんなことしちゃいけなかった…。」
俺の話を最後まで聞いてくれた智くんが俺を見て、ふにゃんと優しく微笑む。
「じゃあさ…俺がしたいこと、今からしてもいい?」
智くんがしたいことなら何だって…俺は頷いた。