第39章 甘い果実
モグモグ食べている姿は可愛いのに、唇に付いた練乳を舌で舐めとっていく櫻井は色気がある。
ゴクッ…
苺を食べている普通の光景なのに…俺はドキドキしてしまうんだ。
いけない、いけない…これ以上見てたら、櫻井に不思議がられてしまう。
俺は、苺に目を向けた。
「あっ、櫻井。この苺さ、甘いかもしれないよ。」
俺が選んだのを渡すと、櫻井は練乳にはつけずに暫くその苺を見てから口に入れた。
「うわっ。ホントだ。めちゃ甘です。」
「そうだろ?」
「はい。…あの、大野さん。その苺、甘いかもしれないから…大野さんも食べてみてください。」
櫻井が苺にそっと触れた。
「これ?」
俺は櫻井が選んでくれた苺を採り、櫻井同様に練乳につけずに食べてみた。
「あ~っ、うめぇ。甘いなぁ~。」
「ふふっ。良かった。」
「じゃあ次は…櫻井のはこれ。」
「大野さんのは…あっ、その隣ので。」
お互いが食べる苺を選びあい、今度は練乳をつける。
苺を一生懸命食べている櫻井の、唇の端から苺の果汁と練乳が…ツーッ…
それを櫻井の赤い舌が素早くペロッと舐めとっていく。
唇全体を舐めていく櫻井の舌と唇の動きから目が離せないでいると
「タイムア~ップ!終了で~す!」
イチゴ狩り終了の合図が流れた。