第38章 不確かな恋
電車を降りて家に向かう。
あ、たんぽぽ…。
公園の隅に咲いてるのが見えた。
たんぽぽは少々踏まれたって雨風が強くたって、へこたれないんだよなぁ。
僕はたんぽぽの前にしゃがんだ。
「僕もたんぽぽみたいになりたいよ。」
人差し指で優しく触れてみる。
小さくて可愛らしいのに強くて…智くんみたいだ。
智くん…。
暫くそうしていると、小学生くらいの男の子3人組が僕の傍に寄ってきた。
小柄で柴犬みたいな子、眉の濃いイケメンな子、手足が長くスタイルのいい子。
「手を繋いでるのかぁ。仲良しさんだね。」
「幼稚園の時から一緒なんです。」
「2人のことが好き~っ。」
「それは友達の好きだろ。一番好きなのは、みんな…幼稚園の時の先生だもん。」
「へぇ…そうなんだ。」
「お兄ちゃん、カッコイイね。」
「あ、ありがと。」
イケメンくんに言われると、ちょっと照れるな…。
「お兄ちゃんさ、あの人と知り合い?」
「さっきからずっと、お兄ちゃんのこと見てるんだけど…。」
「カッコイイから見てるのかな。」
そう言われた視線の先には…智くんがいた。
「みんな、いつまでも仲良くね。バイバイ。」
「お兄ちゃん、バイバーイ。」
僕はその場を後にした。