第38章 不確かな恋
いつも一緒にいる智くんと僕が離れている。
ケンカでもしたのか…とみんなが心配して聞いてくるけど、そんなの智くんに聞いてよ。
今日の教室は、何だか居心地が悪い。
距離をおこうなんてさ…。
つい智くんを目で追ってしまうよ。
…それくらいは許してよね。
はぁ…。
智くんは僕がいなくても楽しそうにしてる。
僕の大好きな顔で笑う智くん。
優しい表情で話を聞いている智くん。
智くんの手が、僕以外のヤツに触れる。
僕以外のヤツが智くんに触れる。
…もう、泣きそうだよ。
智くんは…
僕が同じことしてたら平気なの?
僕のこと好きだって言っておきながら…
他のヤツらとヘラヘラして、ニコニコして。
肩や腕を触れあって。
その輪に僕がいなくても…さみしくないの?
僕は、こんなにもイヤだって思ってるのに…
もう知らないから。
プンプンだからな!
「櫻井、どうした?」
「何があった?」
「大丈夫か?」
「一緒に帰ろうか?」
泣きそうになったりしてる僕のことを心配してくれる声の中に…
智くんの声はない。
「みんなありがと。心配しないで。」
僕はカバンを持って、足早に教室を出た。