第38章 不確かな恋
幼なじみの智くんは、僕にいつもこう言ってくれた。
「しょぉくん、すき。」…これは幼稚園の時。
「しょーくん、好き。」…これは小学生の時。
「翔くん、好き。」…これは中学生の時。
「翔、好き。」…これは高校生の今。
優しくて、カッコよくて、運動神経抜群で、字がきれいで、絵も上手くて…そんな智くんを僕も好き。
ある時の学校帰り。
「翔の好きと俺の好きは違うのかな…。」
智くんにそう言われた。
好きが…違う…?
僕は、智くんの言ってる意味がよくわからなかった。
「智くんのこと、好きだよ。」
僕も、智くんには何度も言っているはずなんだけどな。
「翔とはさ、近くにいすぎるのかもな。」
「だって、幼なじみじゃん。」
「うん…幼なじみ。だからだよ。小さい頃からいつも一緒にいるから、わからないのかもな。…翔、鈍感だし。」
「鈍感って。ひどいなぁ。」
「ごめん、ごめん。それでさ…明日からちょっと距離をおいてみようよ。そうしたらわかると思うんだ。」
「うん…。」
承諾はしたものの、智くんの好きと僕の好きの違いってあるのかなぁ…って思った。