第37章 心の窓
目をギュッと瞑り、小刻みに震えている櫻井。
「さく…。」
いつものように櫻井と言いかけたところで、思い出した。たしかその先輩にも“櫻井”って呼ばれてたんだよな…。
「翔…くん。翔くん。ここにいるのはね、智だから。」
櫻井の震えが止まってきた。
「翔くん。」
「さと…智くん。」
俺の名前を呟いた櫻井。
閉じていた瞼をゆっくり開き、俺を見た。
「智くん。智くん。」
何度も俺の名前を呼びながら、ギュウギュウ抱きしめ返してきた。
「そうだよ、俺は智だよ。翔くん。」
俺も櫻井を抱きしめる力を強めた。
「智くん、暖かい。」
上書き、できてますように。