第37章 心の窓
店を出たところで、櫻井が俺のスーツの肘の部分を掴んでいることに気づいた。
なにか言いたそうにしているから、俺はそれを待ってみた。
「もし迷惑でなかったらなんだけど…この前みたいに、その…大野くんの温もりをもらえないかな…。ウチ…ここからわりと近いんだ。」
トクン…
男と二人きりになるんだぞ、それって櫻井は大丈夫なのか?って思いがよぎった。
だけど…櫻井が一人暮らしなのを俺が知ってるのをわかっているうえで、自らそう言ってきたんだ。
真剣でひたむきな瞳で俺を見つめる櫻井に、俺はコクンと頷いた。
「いいよ、行こうか。」