第37章 心の窓
そんな櫻井の姿に、俺はたまらない気持ちになった。
テーブル越しの櫻井のほうに身を乗り出す。
頬に伝った涙を指の腹で拭い、前髪の分け目から見える櫻井の額にキスをした。
びっくりしたのか、櫻井はキョトンとしている。
段々と、頬だけでなく耳まで赤くなってきた櫻井だけど、怯えているようには見えなかった。
何か言ってあげたほうがいいのかな…。
「えっと…。櫻井の勇気に対するエール的な、キスを…送りました。」
自分でも何言ってるんだ?って思う。
だけど、櫻井の口元が徐々に緩んできて
「ありがとう。エールのキス、受け取ったから。」
綺麗な笑顔でそう言ってくれた。