第37章 心の窓
翌日、櫻井の方が先に出勤していた。
目の腫れが引いていたからホッとした。
…だけど、何かがいつもと違う…。
俺に気づいてニコッとしながら会釈した櫻井。
あっ、そっか。
いつもは隠している目が…今日は片目だけだけど出してるんだ。
前髪を6:4分けくらいにしてるから。
元々の長さは変わってはいないようだけど、サイドの髪も耳にかけていて、だいぶ印象が変わって見える。
何だか嬉しくなった。
同じ部署の皆も櫻井の変化に気づいてはいるけど、そのことに敢えて触れる者はいない。
この1年間、櫻井を見守ってきた人たち。
櫻井、気づいてる?
席に着く時さ、みんな嬉しそうな表情をしてるよ。