第37章 心の窓
そんな俺に、櫻井と関わるきっかけが訪れた。
俺が使用しているパソコンのファイルが開かなくて悪戦苦闘していると
「やってみていい?」
って櫻井が声をかけてくれた。
「うん、お願い。」
俺が椅子を櫻井に譲ると
「ありがとう。」
と律儀に礼を言って座り、パソコンに向き合ったかと思うと、あっという間にファイルを開いてしまった。
「こうすれば開くよ。」
そう言われたものの…画面、何となくしか見てなかったよ…。
なぜなら、「ありがとう。」と言った櫻井の微笑みの綺麗さにドキッとして…その後も櫻井の顔に釘付けになってしまっていたからだ。
「大野くん?」
前髪で表情はよく見えないけど、顔を傾ける姿は可愛いなと思った。
「助かった。ありがとう。」
「どういたしまして。」
席に戻っていく櫻井の後ろ姿を見て、俺にできることがあればしてあげたいという思いが強くなった。