• テキストサイズ

キミとボク【気象系BL】

第36章 桜筏(さくらいかだ)



1年前…

高校生になって初めてのデートの日。

この公園で桜を二人で見たいねって言ってたのに、前日の夜から雨が降り続いていた。

「桜が見れないね。」と言った俺に、翔くんは「いつもと違った桜が見れるよ。」って言って、予定通りこの公園に来たんだ。

二人で傘をさして、人がまばらな公園内を歩いて。

そして翔くんが連れて来てくれたのが、この池だった。

水面に桜の花びらが帯状に連なって、ゆらゆら流れていくのが綺麗で。

俺は引き込まれるように、その様子を見ていた。

「これはね“花筏(はないかだ)”っていうんだよ。」って翔くんが教えてくれた。

俺が「翔くんと…櫻井翔くんと一緒に見た花筏だから“桜筏(さくらいかだ)”だね。」って言ったら、嬉しそうに微笑んでくれて。

回りに人がいなくて、翔くんと二人きりなことに急にドキドキし始めた。

翔くんの顔をチラッと見たら、翔くんも俺を見ていて…俺は自分の傘を閉じた。

「どうしたの?」って不思議そうな顔をした翔くん。

そして…傘をかざしてくれた翔くんの赤い唇に吸い込まれるように

ちゅっ。

ってキスをしたんだ。





/ 1027ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp