第36章 桜筏(さくらいかだ)
俺は、重ねた小指を絡ませた。
「また来年も一緒に見にこようね。」
「うん。」
その瞬間、桜の花びらが舞ってきて…
俺たちの重ねた小指の上に一度触れたあと、池のほうにキラキラと舞いながら、桜筏の中へと入っていった。
「ねぇ、智くん。今の…見た?」
「うん…見た。」
俺たちの小指に花びらが触れたのは一瞬だったけど、ハート型の宝石のようだったんだ。
びっくりしたのと何だか嬉しいのとで、ふふって笑いあい、再び桜筏に視線を移した。
翔くん。
葉桜になるのはさみしいけど…キミとの桜筏の思い出がね、また1つ増えたよ。
END