第7章 若葉の頃

「智くん。俺、さっき“好き”って告白したんだけど。」

「うん…知ってる。」

「そうじゃなくてさ。その…返事をまだ聞いてない。」

「そうだった。ごめん。」

「………。」



なぜか翔くんは、自分の制服の裾を掴んで俯いてしまった。

「んっ？どうした？」

「…だって、今…智くん“ごめん”って言ったから…。振られたんでしょ、俺。」

「は？ち、違うよ！まだ返事をしてないことにごめんって言ったの！」

「…そうな、の？」

「そうだよ。もうさぁ、そんなとこが可愛すぎて堪らないよ。」

「……。」

「俺もね、翔くんが好き。」

俺の返事におっきな目を開き、きょとんとする翔くんだったけど…

真っ赤な顔から、今度は不安そうにして首を傾けた。

「…確認なんだけどさ、それは“友達として”ではないよね？」

はぁ…、もう翔くんは…。

「そんなわけないじゃん。俺の好きはこういう好き。」

ちゅっ。

翔くんの赤くふっくらとした唇に触れるだけのキスをした。

「な、な…不意打ちはやめて！」

「不意打ちじゃなかったらしていいの？」

「そういうわけじゃないけど…俺のファーストキス…。」

「奪われちゃったね。」

「バカ智！もう知らない！」

翔くん、照れてる…。

翔くんの好きな人が俺だったなんて…

まだ信じられないけど、嬉しくて仕方ない。




「両思いだったんだね。」

ふふってハニカミながら指で唇をなぞる翔くんを見て、ハッとした。

さっき…キス、しちゃったんだ…。

急に意識し始めて、翔くんのふっくら唇から目が離せなくなった。

今頃になって心臓がバクバクしてきて…

こんなの初めてだ。

もっと翔くんに触れたい。

その気持ちとともに、俺の中心が疼くのを感じた。