第7章 若葉の頃
「…さと、く…だよ…。」
翔くんは声を震わせながらそう言った。
「えっ…?」
「智くんだよ。俺の好きな人は。」
今度はしっかりと俺を見て、はっきり言った。
翔くんが…俺を?俺のことが…す、き?
「本当なの?本当に?」
「嘘を言ってどうするんだよ。もうっ!」
翔くんは膨れっ面でスタスタ歩き出した。
翔くん、意外と足早いなぁ…なんて呑気に思ってる場合じゃなかった…!
「ちょっと待ってよ!」
俺は急いで翔くんを追いかけ、腕を掴んだ。
「なにっ!」
おぉっ、怒った翔くん初めて見たよ…。
言葉とは裏腹に真っ赤な顔して大きな目を潤ませてて。
めちゃめちゃ可愛いんだけど。
「…智くん、にやけてるよ。」
「あ、ごめん。」
お互い顔を見合わせて、ぷっと笑いあった。