第35章 恋日記
「もっ、それを言うのにさ、何年…かかってるんだよぉ。」
翔くんの腕がしがみつくように、僕の首にまわされた。
あぁ…翔くんの温もりだ。
「待たせてごめ…じゃなくて。待っててくれてありがとう。」
僕は翔くんをギュウッと抱きしめた。
「俺、ずっと…智くん一筋だもん。」
「うん。知ってる…。」
僕の肩にも満たなかった頃から…だもんね。
僕たちは顔を見合わせた。
「俺も、智くんが好きだよ。」
翔くんの目にはもう涙はなかったけど、潤んだ目と濡れた睫毛がキラキラしていて、翔くんの綺麗さをより引き立てていた。
赤く厚いプルっとした唇に目がいく。
今度は…僕の番、かな。
「ファーストキス…ちゃんとね、とっといてあるんだ。」
「うん。俺も同じ。」
「翔くんも?」
「そうだよ。あげたい人がいるから…。」
「翔くん…。」
「智くん…。」
鼓動が高鳴ってくる。
体が熱くなってくる。
顔も火照ってくる。
早く唇を重ねたいけど、恥ずかしさもある。
ぎこちなくだけど、ゆっくりと顔を近づけて…そっと唇を重ねた。
翔くんとの初めてのキスは、お互いに震えていて…それでいて暖かくて…僕たちらしいなって思った。