第35章 恋日記
「智くん…。」
「な…に…?」
翔くんが僕のほうに詰め寄ってくる。
「お願い…離れて行かないで。」
「離れるって…。」
「自分の気持ちをさ…いつまで隠しておくつもり?」
「隠してなんか…。」
「もう…ずいぶん前から…気づいてるでしょ。」
翔くんの表情が儚くて…
「…ごめん。ずっと…。」
「俺も…ごめんね。智くんから言ってくれるのをずっと待ってたけど…もう限界なんだ…。」
翔くんが話してほしいと思ってるのなら…
「翔くんにも…我慢させてたんだよね。」
今が…その時、なのかもしれない。
「僕は…僕は…。」
翔くんが一度目を閉じて、再び開いた。
その大きな目が揺らいでいる。
「僕は、翔くんが好き。」
「うぅっ…」
翔くんの目から涙がこぼれた。