第35章 恋日記
弟のように思っていた翔くん。
まだ小学生のキミのふとした瞬間に、ドキッとしてしまう僕は、おかしいのかな…。
僕はモヤモヤした気持ちのまま中学を卒業し、高校生になった。
高校は電車で5駅離れた所にある。
翔くんと顔を合わせる時間が、自然と少なくなっていった。
ある日帰宅すると、翔くんの家族と…翔くんがウチに来ていた。
翔くんが、私立の中学校に合格したお祝いをするという。
私立を受験したなんて知らなかったし…何よりも翔くんが声変わりしていてびっくりしたんだ。
「智くん。」
僕よりも低い声にゾクッとした。
豪華な食事とケーキを食べた後、翔くんは僕の部屋に来た。
「合格おめでとう。すごいじゃん。」
「ありがとう。」
笑った顔はまだあどけなさがあって、ちょっとホッとした。
「中学は遠いの?」
「ん~、駅で3つ目。」
「へぇ…。」
「だから、来年から一緒の電車に乗るから。」
「えっ…?」
「だって、方向が同じなんだ。電車の時間を調べたら、智くんがいつも乗ってるのと同じだ…っておばさんが言ってた。だから、よろしくね。」
そうして…翌年から2年間、翔くんと一緒に電車に乗って学校に通った。
制服姿の翔くんはカッコよさが際立っていて、僕はいつもドキドキしていた。
そういえば一度、学校の奴らに僕たちは兄弟かと聞かれて…翔くんはムッとしてたっけ。