第35章 恋日記
その日以来、先輩はやたらと僕の近くにいるようになった。
それに、アドバイスしてくれながら肩に手を回したり、髪を撫でたりしてくるようにもなった。
いい気分ではなかったけど、部活中だし先輩だし…
「体調が悪くならないか心配なんだよ。」
なんて言われると、やめてくださいとは言いづらくて。
そして数日後の部活の帰りに、公園で告白された。
尊敬はしてるけど先輩がいう好きとは違うから、断ったんだ。
だけど、すんなりとはいかなくて…
無理やりキスされそうになった。
それを助けてくれたのが、翔くんと翔くんのお母さんだった。
おつかいの帰りに僕たちを見かけたらしい。
翌日はなんだか学校に行く気にならなくて、僕は休んでしまった。
夕方、僕のところに来た翔くんが
「だから言っただろ。」
って。
でも怒ってるんじゃなくて、優しい声で…翔くんのほうが泣きそうな顔をしてた。
「俺…うんと大きくなって、智くんを守れる人になるから。」
「翔くん…」
「だから、変なヤツとは付き合うなよ。…ファーストキスも…奪われるんじゃないぞ。」
「…えっ?」
「よし!今日から牛乳飲も!」
そう言って部屋を出て行った。
あの事がきっかけで、翔くんの仕草や言動が年上の僕よりも大人っぽくなっていったんだ。
あれから2年経つんだな…。