第35章 恋日記
小さい頃から、兄弟のように育った僕たち。
いつも僕の後ろをくっついていた翔くんは、弟みたいで可愛かった。
僕が小学校に入って、塾に通い始めたり学校の友達と遊ぶようになると、
「今日も遊べないの?」
ってさみしそうにしてたっけ。
そんな翔くんが何となく変わったのは…あの日。
中学生になったばかりの時、僕は部活中に具合が悪くなって。
先輩が、僕をおぶって家に連れて帰ってくれたんだ。
学校から連絡が入った母さんは、玄関前で待っていてくれた。
なぜかそこには翔くんもいた。
きっと心配してくれてたんだと思う。
先輩は僕をおぶったまま、部屋のベッドまで連れていってくれた。
だけど…
翔くんはそれを、唇を噛みしめながら部屋の外で見ていたんだ。
先輩が帰った後、着替えをしてまたベッドに戻ると、翔くんがノックをして部屋に入ってきた。
「大丈夫?」
「うん。ちょっと疲れてたみたい。」
「…あまり心配させるなよ。」
僕はてっきり、体調を心配してくれてるんだと思ってたけど…違ったんだ。
「あの人…多分、智くんのこと好きだよ。」
真剣な顔をして僕に言う。
「そんなことないよ。」
「俺、あの男…あいつキライ。」
「いい人だよ。」
「それでも…気をつけないとダメだよ。」
本気にしていない僕に、翔くんは念をおしたんだ。