第33章 キミを見つめて
桜のお世話をしていると、今日も智くんがスケッチブックを持ってやって来た。
いつもよりも、ニコニコしている智くん。
僕は羽をパタパタさせて、智くんの傍にいった。
「どうしたの?」
僕が聞くと、智くんはスケッチブックを開いた。
「いつ描いたか覚えてないんだけどね…。」
そう言いながら僕を見る。
「やっぱり…ショウくんだと思うんだけどな…。」
僕の桜と、ハートの形の雲、智くん、それから…
「羽のある…人間さんの…僕…?」
「やっぱり、そう見えるよね。」
そう言いながら、智くんはすごく嬉しそうだった。
だから僕も嬉しくなって。
パタパタパタパタと智くんの回りを飛び回った。
そんな僕を見つめる智くんは、甘くて優しい表情をしていた。