第33章 キミを見つめて
智くんと一緒に
ゆっくりと歩みを進めていく。
僕の桜が見えてきた。
なんだかいつもより大きく見える…
1つ1つがしっかり見えているからかな…
ぷっくりした可愛らしさと、凛とした佇まい。
吸い込まれてしまいそうだ。
「智くん。」
「ショウくん。」
繋いでる手にギュッと力をこめた。
「これからもよろしくね。」
「うん、また会いにくるから。」
智くんも僕も笑顔で。
桜吹雪が僕たちを優しく包んだ。
ゆっくりと目を開ける。
僕は妖精の姿になっていた。
目の前には桜長さまがいた。
「ショウ、お帰り。」
「桜長さま…。戻ってまいりました。」
桜長さまは何も言わずに、僕の頭をポンとした。
僕は…
どこで何をしていたのか、覚えていない。