第33章 キミを見つめて
翌朝、智くんの胸の中で目覚めると、智くんが柔らかい顔で僕を見ていた。
「ショウくん、おはよ。」
「お…おはよう…智くん。」
僕は恥ずかしくて、智くんの胸に顔をスリスリした。
「可愛いなぁ、ショウくんは。」
智くんは背中を優しく撫でてくれた。
着替えをしたあと、智くんがスケッチブックに何か描き始めた。
桜と…ハートの雲…
それから、智くんと…僕…?
「智くん、それって…。」
「んふふ。昨日の風景だよ。」
たしかに昨日の…
だけど、智くんが描いた絵の…人間さんの姿の僕には、智くんがベールのようだと言っていた淡いピンクの羽がついていた。
「んふふ、なんだろうね。不思議なんだけど…そう見えたんだ。」
いまそこに舞い降りたような…
これから飛び立つような…
地にしっかり足をつけて見守っているような…
そんな僕が描かれていた。