第33章 キミを見つめて
「ショウくん。桜…見に行こうか。」
智くんは、僕が言わなくても気持ちをわかってくれるんだ。
智くんと一緒にいるのに、桜に会いたいなんてね。
僕にはどっちも大切で…。
「ショウくんはさ、自分に正直でいいんだよ。」
智くんは、そう言ってくれた。
公園に着くと、昨日の雨の影響なのだろう。
地面にはいつもより多くの花びらが落ちてしまっていた。
「おっ。今日はショウくんと一緒に、ピンクの絨毯…ピンクの道をお散歩だね。」
智くんが楽しそうに言った。
「えっ…?」
「んふふ。」
智くんの暖かな手が僕の手を握る。
繋がれた手が熱くなって、なんだか気持ちもポカポカしてきた。
僕はもう一度、辺りを見渡した。
言われてみると…そう、ピンクの道かもしれない。
気持ちひとつで…考え方ひとつで…こうも見え方が変わるもんなんだ…。
僕は繋いでる手にギュッと力をこめた。
智くんがニコッてしてくれて、僕も自然と笑みがこぼれた。