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キミとボク【気象系BL】

第33章 キミを見つめて



智くんから家に来ないかと言われて、断る理由は僕にはない。

せっかく人間さんの身体になったんだから、智くんと一緒にいたいんだ。

「じゃ、行こうか。」

智くんは、ふにゃんと微笑んだ。

二人で並んで歩き始める。

僕が振り返ると、桜はキラキラと輝いていた。




智くんの家に向かう途中、雨がポツポツ降ってきた。

「あと少しで着くから。」

智くんが僕の手を引いて、足早に進み始めた。

洋服って、雨で濡れると身体に張りついて気持ちが悪い…初めて知った。



「ここだよ。」

そこは2階建てのアパート。

階段を上がり、角部屋の前に着くと、カチャカチャと音がして扉が開いた。

智くんと一緒に中に入る。

智くんが扉を閉めると、またカチャカチャと音がした。

「今、タオルを持って来るね。」

僕は四角い枠の中で、智くんを待った。

ポタポタと僕から垂れた雫が、四角い枠に染みを作っていく。

「お待たせ。これ…タオルで拭いて。」

僕は智くんから受け取ったタオルで、濡れたところを拭いた。

智くんも、タオルで髪の毛を拭いている。

濡れた髪の智くんはとてもきれいで…僕の身体がまたウズウズし始めた。

「今、お風呂温めてるからね。」

お風呂…?

何だろうな…って思っていると、

「玄関じゃ寒いから、あっちに行こう。」

智くんは部屋の中に連れていってくれた。

「着替えを用意するね。僕のだと少し小さいかもしれないけど…。」

そう言いながら、智くんはタンスの中をゴソゴソしている。

「これでいいかな…。」

智くんがそう言ってから間もなくして、軽快な音が鳴った。





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