第33章 キミを見つめて
「やっぱりキミは、ショ…。」
そう言いかけたところで、智くんは口をつぐんだ。
智くんは僕のこと、妖精のショウだって気づいてる。
そして…僕が気づかれないようにしていることも。
あえてそこには触れないようにしてくれた、智くんの気遣いが嬉しかった。
その後は、公園内を散策したりスケッチブックの絵を見せてくれたりした。
この間、キューピーちゃんみたいだと言って僕のことを描いてくれたページ。
そこには、桜の花びらの間から顔を出している僕や、手を振っている僕、パタパタと羽を動かしている僕の姿が追加して描かれていた。
「すごく可愛くてきれいなんだ。」
その絵を指でゆっくりなぞりながら言うから、なんだか照れくさかった。
「大丈夫?疲れてない?」
智くんは声をかけてくれた。
今までこんなに歩いたことはない。
桜のお世話以外でこんなに動いたこともない。
「ちょっと疲れました。」
僕は思わずそう言ってしまった。
「うちに…来る?」
智くんの言葉に、僕は頷いた。