• テキストサイズ

キミとボク【気象系BL】

第33章 キミを見つめて



「この桜…きれいでしょ。」

「うん。きれい…。」

いつもお世話をしている僕の桜。

智くんが“気に入ってる”と言い、連れて行ってくれたのが僕の桜。

本当に嬉しい。

桜も音楽を奏でているように、楽しそうに揺れている。

僕たちが来たのを喜んでいるみたいだ。



「あれっ?今日はショウくんはいないのかな…。」

智くんが呟く。

僕は聞こえていないふりをして、はらはらと舞う花びらを見ていた。

いつも間近で見ている桜を、今は地上から見ている。

こんなに遠い位置から桜を眺めたことはなくて。

桜を見上げていたら自然と口が開いてたのか、花びらが口の中に舞い降りてきた。

舌にのっている花びらを智くんに見せて二人で笑った。



その花びらを指で取ろうとしたけど、自分ではなかなか取れなかった。

「取ってあげるよ。」

そう言って、智くんが僕の正面に来た。

ドクン…

僕の舌に視線を送る智くん。

ドクン…ドクン…

「動かないでね。」

僕の右肩に智くんの左手が乗せられる。

ドクン…ドクン…

智くんの長くてきれいな指が、僕の舌に伸びてくる。

ドクン…ドクン…

智くんの指が僕の舌に触れる。

ドクン…ドクン…

花びらを取ろうと動く智くんの指がくすぐったい。

「ふふっ。」

「ちょっ、あと…もうちょい…。」

智くんの指が止まり、舌に触れる。

舌を数回つままれて、くすぐったいのが我慢できなくなって、僕は反射的に口を閉じてしまった。

あっ…

智くんの指をくわえちゃった…。

智くんはクククッと小刻みに揺れながら、笑いをこらえている。

「ほれんははい。」

僕は“ごめんなさい”と謝りながら、ゆっくり口を開けた。

智くんはまだクククッとしつつ、指を抜いた。

「ほら、取れたよ。」

智くんは取ってくれた花びらを、指先に持って見せてくれた。

「ありがとう。」

僕がそう言って智くんを見ると

バチッ。

智くんと目があった。





/ 1027ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp