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キミとボク【気象系BL】

第33章 キミを見つめて



トントン…トントン…

肩を叩かれていることに気づき、ゆっくり目を開けた。

ここは見覚えがある…

僕の桜がある公園のベンチだ。

僕は自分の手や足を見て、人間さんの身体になったんだと改めて認識した。

そして僕の視界には、智くんのスケッチブックがある。

「あの…大丈夫ですか?」

あぁ、やっぱり智くんの声だ。

「はい、大丈夫です。」

「良かったぁ。なかなか目を覚まさないから心配したよ。」

ポスン…と智くんは僕の横に腰を下ろした。

智くんの甘くて優しい匂い。

まるで花のような匂いは、僕を安心させてくれた。



ふと、スケッチブックを持つ智くんの手が見えた。

その手の大きさと、僕の手の大きさが変わらないことに嬉しくなった。

思わず笑みがこぼれてしまう。

「キミは…僕の知ってる人になんだか似てるね。」

智くんにそう言われ、僕だと気づいたのかな…とドキドキした。

ゆっくり智くんのほうに顔を向けると、優しい眼差しで僕を見ていた。

少し垂れがちの目。

スーっと通った鼻筋。

薄いけどプルっとした唇。

カッコよさと綺麗さを持ち合わせている顔。

惹きこまれるように、僕の手は智くんの頬を包んだ。

すごく愛おしい。

「ふふっ。どうしたの?」

智くんの声でハッとした。

「ご、ごめん…なさい。」

僕は手を引っ込めた。

「んふふ。大丈夫なのに…。」

膝においた僕の手の上に、智くんは自分の手を重ねた。





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