第33章 キミを見つめて
「それは…お互いに想いあってるってこと…です、か?」
「そうだろうな。」
「だって…僕たちは人間さんと妖精なんです。どうしたら…。」
「ショウは、どうしたいんだ?」
「僕は…智くんのことを見ているだけでいい。」
「本当にそうか?」
桜長さまは、僕の頭を優しく撫で始めた。
「僕が一番大切なのは桜だから。その桜を智くんが好きだと思ってくれるだけで嬉しいんです。」
それは本当の気持ちなんだ。
だけど…なぜこんなに苦しいんだろう。
桜長さまは僕の頭から手を離した。
目を閉じて…小さく何度か頷きながら何か考えている。
そして目を開けると、じっと僕を見た。
「ショウは、桜のお世話についてから何年になる?」
「今年でちょうど100年になります。」
「そうか。いつもありがとうな。」
「いえ…。」
桜長さまがコホンと咳払いを1つして、座り直した。
僕もそれにあわせて姿勢を正した。
「いいか、ショウ。」
桜長さまの表情がピリッとして、空気が変わった。