第33章 キミを見つめて
人間さんには見えないはずの僕の姿が見えるなんて。
もしかしたら僕は、他の人にも姿が見えてるのかな。
そう思ったらすごく怖くなって…身体がブルブル震えてきた。
力がだんだん抜けてきて…
パタパタパ、タ…パ…タ…
「妖精さん?」
あの人の声が聞こえた…。
暖かい温もりに包まれてる。
甘くて優しい匂いがする。
なんだろう…花の国にいる時と同じような、
懐かしい感じ。すごく安心する…。
「んんっ…。」
「妖精さん、妖精さん。」
目を開けると、僕を手のひらに包んで、心配そうに見ているあの人の顔が見えた。