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キミとボク【気象系BL】

第31章 前を向いて



「どうしたの?智くん、元気ないけど。」

「いや…大丈夫だよ。」

そうか…これからはお互い知らないことが
多くなっていくんだな。

「新しい友達かぁ。」

「うん…。」

「智くんはさ、人を惹き付ける魅力があるからなぁ。すぐ人気者になるよ。」

「そんなことねぇよ。翔くんのほうがそうじゃん。」

「もう、本当に自覚ないの?」

「うーん…よくわかんねぇや。」

「智くんにさ…俺以上に仲良しな人、できちゃうのかな。」

「なに言ってんだよ。」

「…ねぇ、智くん。」

「んっ?」

「智くんさ、まだ誰かと…灯台に登ってないよね。」

「あ、うん。」

「俺とさ、灯台…行ってみない?」

「灯…台…えっ?」

「えっと…思い出作りに…なんて。」

翔くんは大きな目をキョロキョロさせている。

「俺と灯台に?」

「あ、ううん、いいの、いいの。無理にじゃないから。」

翔くんは、ごめん、ごめん…って
両手を胸の前で振り始めた。



まだ信じられないけどさ、

一緒に灯台ってさ…

そういうことだよな…

だよな…だよな…だよなぁ。

さっきの沈んだ気持ちはどこへやら。

俺は嬉しくて堪らなくなった。

くふふふふ…。

にやけてるのが自分でもわかる。



そんな俺に気づかずに、未だに

ごめん、ごめん…と必死に

手を振っている翔くん。

俺はその手をそっとつかんだ。





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