第30章 俺の恋人
俺は気づかれないよう後をつけた。
すぐに助けるようなことはしない。
暫く様子を見てみるんだ。
「おい、お前が大野の恋人ってヤツなんだろ?」
「えっ…あ、その…。」
「俺らの仲間がさ、大野にケガさせられたんだよね。」
しょーくんは制服の裾をキュッと掴んで
オドオドしている。
制服も着崩していない優等生くんが
いかにもピンチな状況になってるんだ。
「へぇ…よく見ると可愛い顔してんじゃん。」
「大野なんてやめてさ、俺らと楽しいことしようよ。」
「いや、です。」
「震えながら言っちゃって、可愛いな。」
可愛いのは当たり前だろ。
俺のしょーくんなんだから。
もうさ…しょーくん、本当に可愛すぎ。
そんな顔と仕草、見せちゃダメじゃないか。
おい、お前らもしょーくんに近づきすぎ。
それ以上近づくな。