第27章 仲直りは…
翔くんが落ち着くのを暫く待つ。
「ごめん、もう落ち着いたから。」
翔くんの腫らした目に、申し訳なさでいっぱいになった。
「翔くん、これ…。」
俺は、ビニールに入れたストラップの欠片を見せた。
翔くんの手が震えながら伸びてくる。
俺からそれを受け取ると、大事そうに胸の前で包みこんでいた。
「翔くん、本当にごめんね。今日さ、俺がそれ持ち帰っていい?」
「えっ?智くんが…?」
「そう。直したいなって思って。」
翔くんはストラップの欠片と俺を数回交互に見ている。
「うん、いいけど…ただし!」
急に大きな声をあげるから、びっくりした。
「俺の大切な宝物が不恰好で帰ってきたら、泣いちゃうかもしれない」
「う、うん。」
「それと!」
「はっ、はいっ。」
「まだ…完全には許してないからね。」
むぅ…っと頬を膨らます翔くんが可愛くて愛しく思った。