第26章 君に触れたくて
「えっ?大野くんが俺に…ドキドキ…?」
俺がいま、ドキドキが半端ないんだけど。
「そうだよ。お前の手ってさ、温かいのな。手から出るパワーっていうのかな。」
「自分じゃよくわからないけど…。」
「そうだよね、無意識なんだろうなって思ったよ。ほら、看護の“看”は“手でみる”って習ったじゃん。」
「うん。」
「目でもみることができてる上にさ、手でみることもできててさ。すげえなって。」
「そんな風に改めて言われると、恥ずかしいな。でも嬉しいよ。ありがとう。」
「背中をさ、拭いてくれたじゃん。あの時さ、ちょっと泣きそうになったんだよ。拭きながら擦ってくれてるリズムが俺の波長にあってて、じわ~ってきた。」
「へぇ、そうなんだぁ…。」
「うん。気づいたら寝てた。」
「そうそう、寝ちゃっててびっくりしたもん。あれだけゼーゼーして苦しかったら眠れないから…。」
「……。」
「ん?」
「お前さ、俺がただ誉めてるだけって思ってない?ドキドキした意味…わかってる?」
「へっ?」
「櫻井はさ、ドキドキしなかったの?」
うわっ、超近いんだけど…がんばれ、俺!
「俺は…俺もドキドキしたよ。」
「うん。」
「なんだよ…ニヤニヤして。」
「その先、聞かして。」
…がんばれ、俺!!