第25章 white love
「俺のお願い、聞いてくれる?」
「うん…何かな。」
「俺をさ、抱きしめてよ。」
「えっ、あ…うん。いいよ。」
櫻井は体を起こして、ふぅ…っと短い呼吸をした。
その姿だけでも見惚れてしまう。
そして、ニコッと爽やかな笑顔で両手を広げた。
「おいで。智くん。」
さ、さ、さ…智くん?!
「ほぉら、智くん。」
こんなイケメンに“智くん”なんて…。
「抱きしめてほしいんだろ、智くん。」
今度は俺が櫻井に腕を引かれて抱きとめられた。
うわぁ…胸がいっぱいだよ。
櫻井の体温と石鹸の香りが心地よかった。
「ねぇ、智くんは呼んでくれないの?」
耳元で囁かれてゾクッとしたら…完全に勃ってしまった。
「呼ぶ、って…。」
「ほら、智くん。」
「しょ…翔くん。」
「ははっ。嬉しいよ。」
なんだ、これ。
櫻井に跨がるように座って抱きしめられてるうえに“智くん”“翔くん”なんて呼びあってるなんて…。
「智くん、体調はどう?」
だから…顔を覗き込んだらヤバイんだって。
「顔が真っ赤だよ。熱でもあるのかな…。」
コツン…
櫻井は俺のおでこに自分のおでこをくっつけた。
「ん~っ、熱はないみたいだね。」
「うん、風邪の熱ではないと思う。」
だって、熱をもってるのは違うとこなんだから。