第25章 white love
風呂の後は、大広間での夕食。
俺たちは向い合わせの席に案内された。
櫻井の食べっぷりには脱帽したけど、それ以上にリスの頬袋かって思うほど、頬を膨らませて食べる姿がおもしろかった。
そういえば、コイツが食事してる姿なんて見たことなかったな。
俺がツボって笑う度にイチイチ動きを止めるから、思わず口の中のものを噴き出しそうになって、堪えるのが大変だった。
櫻井…ギャップがありすぎるよ。
夕食を終えて部屋に戻る時、俺たちはカツアゲされそうになったんだけど、櫻井が相手を瞬時にKOした。
ケンカしたわけじゃない。
メガネが曇ってるから拭かないと、とか言いながら颯爽と瓶底メガネを外した櫻井のイケメンフェイスに、相手が腰を抜かしたんだ。
お前の顔、色んな意味で武器になるよな…。
何はともあれ、俺は櫻井に助けられたんだ。
部屋のドアを開けると、布団が2組並べて敷いてあった。
スキー旅行に来てるんだし、普通の光景なのに…俺はなぜこんなにドキドキしてるんだろう。
「ねぇ、大野くん。」
「はいっ。」
つい声が上ずってしまった。
「ナイターでもって思ったけど、やっぱり具合悪そうだね。声も変だし。」
いやいや、具合悪いわけじゃないから。
…って言う間もなく、櫻井に腕を引かれて布団のほうまで連れていかれた。