第25章 white love
暗くなる前に、俺たちは部屋に戻った。
できれば汗を流してさっぱりしたい。
「夕飯の前に一度、風呂にでも行くか?」
コンタクトを外すため洗面所にいる櫻井に、ドア越しから声をかけた。
ガチャ…
「ごめん、よく聞こえなかったからさ。もう一回言ってもらってもいいかな。」
「だからぁ、風呂に……えっ?」
「ん?」
「あの……どちら様ですか?」
「へ?どちら様って……櫻井ですけど。」
「……。」
「大野くん?」
いやいや、違うでしょ。
こんなに超絶イケメンが櫻井なハズは…。
気が動転した俺は、その場にしゃがみこんでしまった。
「どうしたの?やっぱり具合悪い?」
覗き込んできたイケメンくんにドキドキが止まらない。
大きなくりくりの目で、キラキラオーラを醸し出しているイケメンくん。
「あなたが櫻井だと言うのなら、早くその姿を見せてください。」
俺はとんでもなく変なことを口走っていた。
「ふふっ。いいけど…。」
イケメンくんは前髪を上げていたヘアバンドを外し、手にしていたメガネをかけて、ササッと前髪を整えた。
…あぁ、本当に櫻井なんだ。