第23章 いつかの約束
翔くんは俺の左胸のアザを
よく見せてほしいと言った。
俺はバサッとスエットを脱ぎ、
上半身裸になった。
翔くんは頬を赤らめながらも
俺の左胸の三日月をそっと
指先でなぞるように触れた。
もどかしい指の動きがくすぐったいけど、
その表情は儚げでとても綺麗だった。
暫くそうしていると
「智くん、俺もね…。」
翔くんは俺のアザから手を離し、
自分が着ているパジャマを脱ぎ始めた。
ボタンを1つ1つ外していく
その手がたどたどしくて…
俺は固唾を飲んでそれを見守った。
露になった翔くんの上半身。
厚い胸板に目をやると…
「どうし、て…?」
この前は確かに無かったはずなのに…。
いま目の前にいる翔くんの左胸には、
俺と同じ三日月のアザが
はっきりとあるんだ。
なんで…?
俺が混乱しているのが伝わったのか、
翔くんは俺の三日月のアザに
再び触れながら
ゆっくり話し始めた。
「智くんのね、アザを見た日あったでしょ。あの日からね、夜になると左胸が疼いてさ。智くんと同じ三日月のアザが浮かび上がってくるようになったんだ。不思議とね、朝になると消えてるんだけどね。なんか…引き寄せられるものがあったんだろうね。」
俺も翔くんの左胸の三日月に
そっと手を伸ばした。
指先が触れると、身体を
ビクビクさせている。
そんな翔くんの反応が
可愛くて愛しく思った。